扶養家族が増えた時
扶養家族の認定
a 被扶養者とは
健康保険では、被保険者(社員)が病気になったり、ケガをしたときや亡くなった場合、または、出産した場合に保険給付が行われますが、その被扶養者(家族)についての病気・ケガ・死亡・出産についても保険給付が行われます。
ただし、家族なら誰でも健康保険の被扶養者として認定されるというものではありません。法律等で決まっている一定の条件を満たすことが必要です。
健康保険の被扶養者(家族)は、税法上の扶養家族、会社の扶養手当とは基準が異なります。
b 被扶養者の認定
被扶養者として認定を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。
健保組合は以下の要件に沿って厳密に審査した上で被扶養者に該当するかどうかを判断します。
認定要件
- 主として被保険者(社員)の収入によって生活していること
- 健康保険法に定める被扶養者の範囲であること
- 家族の収入は年間130万円未満
60歳以上又は59歳以下の障害年金受給者は年間180万円未満であること - 家族の年収は被保険者(社員)の年収の1/2未満であること
- 被保険者(社員)にその家族を継続して養う経済的扶養能力があること
- 後期高齢者に該当していないこと。
(日本国内に住む75歳以上全員と、前期高齢者(65~74歳)で障害のある方) - 別世帯家族の場合は、送金額が家族の収入を超える額を継続的に送金していること
- 「まとめて仕送り」や「手渡しは不可」
- 金融機関からの振込みなどの送金証明が必要
<別居であるが仕送りを証明するものが免除されるケース>
- 会社都合の単身赴任
- 子供の進学による別居
- 一時的な里帰り出産・介護による別居
- 長期入院
- 施設入所による別居
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 身体(知的)障害者更正施設
- 日本国内に住所(住民票)があること
<例外的に認定される事例>
- 外国に留学する学生
- 海外赴任に同行する家族
- 海外赴任中に生まれた子ども、結婚した配偶者
- 観光、保養又はボランティア活動、その他就労以外の目的で一時的に海外に渡航するもの
c 被扶養者(家族)の範囲(法律で決められています)
- 三親等内の親族
- ただし同一世帯、別世帯の条件があります。
- 同一世帯、別世帯どちらでもよい人
- 配偶者(内縁関係も含む)
- 子(養子も含む)、孫 、兄弟姉妹
- 父母(養父母も含む)などの被保険者の直系尊属
- 同一世帯が条件になる人
- 1. 以外の3親等内の親族
- 被保険者の配偶者(内縁関係も含む)の父母、連れ子
- 配偶者(内縁関係も含む)死亡後の父母、連れ子
- 就労可能な18~60歳の家族
通常、就労可能な年齢にあり、被保険者(社員)の経済的支援がなくても自立して生活できる場合が多くあります。
このため、被扶養者(家族)になるためには書類の提出により、就労できない状態にあることを証明し、被保険者(社員)が生活費の大半を負担しなくてはならない状態にあることを申告することが必要です。 - 同一世帯とは、
被保険者(社員)とその家族が同じ家の中に住んで家計を共同すること。
また同居していても、お互いに独立した生活を送り、食事や生活の費用など家計が別々の場合は、同一世帯と認められません。
d 被扶養者(家族)の収入
■ 収入の範囲
- 勤労収入(通勤費等の非課税収入及び賞与を含む)
パート、アルバイト、内職等 - 各種年金収入
公的老齢年金、遺族年金、障害年金、企業年金等 - 事業収入
自営業、農業、林業、漁業等の収入
保険外交員、ピアノ講師等の収入 - 雇用保険の失業給付等
- 社会保険からの休業補償費
傷病手当金、出産手当金 - 被保険者以外の親族からの援助、仕送り
- 不動産収入、利子収入、配当金収入等、その他収入と認められるもの
■ 年間収入の算出方法
- 年間収入とは、過去における収入ではなく、被扶養者(家族)に該当する時点及び認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。
- 給与収入
直近3ヶ月の総支給額(通勤交通費も含む) の合計 × 4 + 年間賞与額 - 自営業収入・・・・・・総収入-必要経費
- 不動産収入・・・・・・総収入-必要経費
- 年金収入・・・・・・・介護保険料及び税金控除前の支給金額
- 利子・配当収入・・・・税金控除前の総収入額
- 健康保険の傷病手当金、出産手当金・・・給付日額 × 360日
- 雇用保険の失業等給付・・・・・・・・・給付日額 × 360日
- 1年、1ヶ月、1日あたりの収入(見込)条件は下表のとおりです。
1年 | 1ヶ月 | 1日 | |
---|---|---|---|
60歳未満 | 130万円未満 | 108,334円未満 | 3,612円未満 |
60歳以上 & 障害者 |
180万円未満 | 150,000円未満 | 5,000円未満 |
e 扶養認定日
- 「被扶養者(異動)届」及び必要書類一式が提出され、健保組合が扶養の事実を認めて受理した日が認定日となります。
- 出生においては出生年月日を認定日とします。
- 1ヶ月以内に異動事由を証明する書類を提出し、健保組合が受理した場合に限って、その事実が発生した日に遡って認定します。
遡りが可能な期間がありますので、事由発生後、速やかに書類を提出してください。
f 扶養削除日
- 被扶養者が就職した場合は、就職先の保険資格が分かるもののコピー等の資格取得日を以って 削除日となります。
- 被扶養者が死亡した場合は、死亡日を確認の上、死亡日の翌日を以って削除日となります。
- 被扶養者が年間収入基準を超える場合は、組合でその事実を確認した日を以って削除日となります。
- 被扶養者の生計の主が異動した場合は、組合でその事実関係を確認した日を以って削除日となります。
- 後期高齢者(日本国内に住み75歳の誕生日、前期高齢者(65~74歳)で障害認定された日)に該当した場合は、該当した日を以って削除日となります。
被扶養者の資格がなくなっているにもかかわらず、届出をしなかった場合は遡って資格喪失になります。
資格喪失日以降に当健保の保険資格で受診した場合は、医療費等を返還しなくてはなりません。
g 被扶養者の健康保険料はかかりません。
保険料は、被保険者(社員)の報酬月額によって決められています。
被扶養者(家族)の数が増減しても変わりません。
h 被扶養者資格の再確認調査を毎年行います。
再確認調査の際、収入証明、誓約書、継続的な送金証明等の提出が必要になります。
提出することができない場合は、資格を継続することができなくなりますので、必要書類はいつでも提出できるようにご準備願います。
i 虚偽の申請をした場合
扶養の実態がない家族を申請した場合、被扶養者資格を遡って取り消され、その期間に発生した医療給付費を全額返還しなくてはなりません。
j 被扶養者のマイナンバー提出について
被保険者(社員)の会社経由で収集致しますので、会社へ提出して下さい。
- 但し、退職後の任意継続の方が被扶養者を追加する場合は、住民基本台帳ネットワークから収集を行いますので、 提出は不要です。
k その他
被扶養者認定の審査において、所定書類で判断できない場合は、別途追加で書類を求める場合があります。
申請書類
提出時期 | 認定事由が発生した日から5日以内 |
---|---|
申請書 | 健康保険被扶養者(異動)届 |
被扶養者現況表 | |
添付書類 | 被扶養者の申請に必要な添付書類一覧表 |
提出先 | 勤務先の健保事務担当者を経由して健保へ提出 |